イケメン戦国創作小説3
こんにちは。今回は姫の名前を由梨にして、春日山編を書きたいと思います。
では、いきます。
―越後、春日山城
夏風が心地良く吹くある日の夜、私はそこへ来ていた。私は今日からここで暮らすことになる。広間に集まった皆に頭を下げた。
由梨 「今日からここでお世話になります、由梨と申します。よろしくお願いします。」
謙信 「…由梨、早速だが、俺はお前に頼みがある。」
由梨 「なんでしょう?」
謙信 「俺にあまり近づくな。でないと、その場ですぐ斬る。」
(え!?斬るって…初対面の人相手に本気でおしゃってるの!?)
唐突過ぎて、何も言えずにいると、佐助くんが横から突っ込む。
佐助 「謙信様、女性相手にそのようなことを申すのは如何なものかと…」
それを聞いた幸村と信玄様も割って入る。
幸村 「物騒なこと言わないでくださいよ、もう。後々面倒なことになるのはごめんですからね。」
信玄 「いくら女嫌いだからって、初対面の天女相手にその言い様はないだろう。…まぁ、どちらにしろ、俺は気に入ったが。」
由梨 「いきなり何をおっしゃるんですか?びっくりさせないで下さい。」
信玄 「本心だよ。俺は君みたいな天女に出会えて幸せだよ。」
(!?)
急なことに目を瞬かせていると、謙信様が冷たい目を向けて、言い放つ。
謙信 「信玄、よくも懲りんな...」
幸村もいつものことなのか、呆れた声を上げている。
幸村 「信玄様、そういうことはお止め下さいといつも申してますのにどうして…謙信様も、そういうことは気軽に口に出さないで下さいよ。ただでさえこっちはいろいろあるんですから。由梨、気にすんなよ?」
由梨 「うん…」
そう言った時、謙信様がまたもや物騒なことを言い出した。
謙信 「好き放題言ってくれる。いい加減にしろ。でないと、お前らまとめてあの世行きにするぞ。」
(怖っ!!)
見かねたのか、黙って聞いていた佐助くんが謙信様をたしなめる。
佐助 「まぁまぁ、落ち着いて下さい。由梨さん、ごめん。見苦しいとこ見せちゃって。謙信様っていつもこうだから…」
由梨 「いいの、よく考えてみたら疑ってる人を側に置くだけでも、嫌だもんね。」
その時、女中が広間に顔を出した。
女中 「失礼いたします。由梨様、遠いところようこそ。お疲れになったでしょう、お部屋にご案内いたします。」
由梨 「あ、ありがとうございます。お願いします。」
女中 「承知致しました。参りましょう。」
私はもう一度皆に頭を下げて、女中さんと共に用意してくれていた部屋へと向かった。
部屋へ着くと、そこには豪華な家具や着物、髪飾り等があった。あまりの豪華さに驚いていると女中さんが横から説明してくれた。
女中 「信玄様が用意して下さったんですよ。謙信様が勝手に由梨様を牢に入れたりなさらないようにって。」
由梨 「そうだったんですか。」
(初対面なのに気に入ったとか言う軽そうな人だったけど、根は優しいのかな。今度会ったらお礼言っとこう。謙信様は斬るとか真顔で言う怖い人だけど、悪い人ではない…んだよね。)
そんなことを思っていると、女中さんがハッとした。
女中 「あ、長居してしまって申し訳ありません。失礼致します。」
由梨 「ありがとうございます。」
女中さんが出て行ってから、長旅で疲れていたこともあって、私は側に置かれてあった寝間着に着替えて、褥に横になった。これからとんでもないことが起こることなど、この時の私は知る由もなかった。
―それから何時間か経ち、私は何かの物音に気付き、目が覚めた。
「カタッ」
(あれ?何の音だろう?…風かな)
最初はその程度に思っていたけれど、その物音はだんだんと大きくなっていく。
「ガタガタ、ガタン、ガッシャーン」
その音で私はただ事ではないと思い起き上がって、慌てて部屋中を見まわした。しばらくきょろきょろしていると、暗闇の中だったがその音の正体が分かって、息を飲んだ。
(もしかして、あの音は風じゃなくて刺客だったの!?どうしようこのままじゃ…)
そんなことを思っている間にも刺客はこっちへ近づいてくる。
(よし、こうなったら…)
しかし、私が声を出すより先に刺客が私の手を乱暴に引っ張る。
由梨 「いや、離して!」
刺客 「大人しくしろ。」
(なんで気づかなかったんだろう。ほんと、私ってバカだよ。)
何とか振りほどこうとしても、私に出来るわけもなく、冷や汗が背中を伝ったその時。襖が開き、幸村が私の元へ駆け付けて来てくれた。
幸村 「由梨、大丈夫か!?」
由梨 「幸村?大丈夫、何とか…」
幸村 「無理すんな。お前は下がっとけ。…俺は必ずお前を守る。」
そう言うと、幸村は刺客に向き直り、鋭い視線を向けた。
幸村 「お前…越後の者じゃねえみたいだが、よくもまぁ御館様の姫を襲ったな。覚悟はできてるんだろうな。」
刺客 「ああ?良く分からんが、お前もしかして…」
幸村 「お察しの通り、俺は真田幸村。謙信様と同盟を組んでる信玄様の家臣だ。」
刺客 「やっぱりな…」
幸村 「やっぱりって、お前何か知ってんのか?」
刺客 「お前が信玄の家臣でここ、春日山城に身を寄せていて、その女も居候してる。違うか?」
幸村 「違わねえが、なんでお前がそんなこと知ってんだ?俺のことはともかく、由梨は今日ここに着いたばかりだぞ。」
刺客 「俺の斥候達が調べた。」
幸村 「…春日山城の秘密を知ってる奴を生かしとくわけにはいかねえ。由梨、悪いがちょっとこいつを連れてく。すぐ戻って来るつもりだが、もし何かあったら外で佐助が待ってるから、佐助に伝えてくれ。」
由梨 「うん。」
そう言って幸村は刺客を持っていた縄で縛り、連れて行こうと部屋を出て行こうとする。しかし、この時私は重要なことを言い忘れていたことに気付いた。
由梨 「待って、幸村。」
幸村 「どした?」
由梨 「助けてくれて、ありがとう。」
幸村 「別にこれくらいどうってことねぇ。」
ぶっきらぼうに言い放ち、幸村はそのまま刺客を連れて私の部屋から出て行った。
幸村が出て行って間もなく、入れ替わるように信玄様が姿を見せた。
由梨 「信玄様…。ご心配おかけしてすみません。今幸村が刺客を連れて行ったところです。」
信玄 「そうだったか…それより由梨、さっきそこで幸から事情は聞いたが、何事もなくてほんとに良かった。」
由梨 「ありがとうございます。でも、全部幸村のおかげなんです。もしあの時幸村が助けてくれなかったら、私今こうしていられなかったので...」
信玄 「幸が…」
私は頷いて、心配させないように精一杯の笑みを向けた。かと思えば、信玄様が何かを思い付いたとばかりにポンと手をたたく。
信玄 「そうだ、今から俺が由梨の護衛になる。」
由梨 「え?どうしてですか?だって、信玄様もお仕事お忙しいんじゃ…」
信玄「いいんだ。さっき幸にこのことも言って来たんだが、仕事も幸ができることはやってくれるって言ってたし、いつまた何が起こるか分からないからな。」
(そうだったんだ…でもあんなことがあったから怖いのは確かだし…護衛、付いててもらった方がいいかな)
そう思い、改めて信玄様に護衛に付いてもらうことにして、頭を下げた。
由梨「じゃあ、よろしくお願いします。」
信玄「ああ、よろしくな。」
そう言って、信玄様が微笑んだ時、幸村と共に佐助君が入ってきた。
由梨「幸村、おかえり」
信玄「幸、大丈夫だったか?」
幸村「はい、なんとか。」
佐助「由梨さんも大丈夫だった?」
由梨「うん、大丈夫。ごめんね、心配かけちゃって。」
佐助「いや、それはいいんだけど、由梨さんの護衛に信玄様が付くって話ほんとなの?」
(聞こえてたんだ…)
由梨「うん、その方が安心だし。いつまた今日みたいなことがあるか分からないしね…」
佐助「そっか…でも安心し切らない方が身のためだとは思うけど。」
幸村「あー、俺もそれは同感。」
信玄「どういう事だ?」
幸村・佐助「二人の秘密事です。失礼します。」
そう言って、二人はそそくさと私の部屋から去り、信玄様は納得いかなさそうな表情で二人を見送った。
私の部屋で信玄様と二人になり、さっき言おうと思ってたことを伝える。
由梨「ほんとに、色々ありがとうございます。」
信玄「いいんだ。全部俺がしたくてやってることだからな。」
由梨「え…?それってどういう事ですか?」
訳が分からず首を傾げる私に信玄様が説明してくれる。
信玄「さっきも言ったが、俺は本気で由梨のことが気に入った。だから今日みたいなことがあれば、俺が由梨を守り通す。それに、さっき護衛をすると言ったのは、いつまたこんなことがあるか分からないからだって言ったけど、あれは口実で、本当は君を守りたいからって言うのが本音だ。それでだが…護衛としてだけではなく、君の恋人としても君を守らせて欲しい。」
(嘘…なんでこんなことになってるの…もしかして、さっき佐助君と幸村が言ってたことってこういう事だったの!?)
由梨「本気でおしゃってるんですか?」
不意なことに思わず信じていないような口ぶりになってしまう。
信玄「そうだ。俺は由梨を愛してるからな。」
由梨「愛してるって、私達まだ出会って一日も経ってないんですよ?」
信玄「そうだけど、恋は時間じゃなくて直感だろう?でもまあ、今すぐに答えてくれとは言わないが…いい返事を待ってるよ。」
そう言うと、私の頬に口付けをして、部屋を出て行った。
―翌日。
(昨日は大騒ぎがあったからか、眠れなかったな…それにしても信玄様、昨日なんであんなことおしゃったんだろう…)
どうすればいいか分からなくて溜息を付いていると、謙信様が声を掛けてきた。
謙信「何をそんなに悩んでいるのだ?俺に言え。」
由梨「謙信様、いいんですか?あまり近づいて欲しくないって昨日おしゃってましたが…。」
謙信「お前が何か悩んでいるということは十中八九、信玄がらみだろう。だから、今日は話を聞いてやる。来い。」
そう言うと、謙信様は私を謙信様の部屋へ案内してくれた。部屋へ着いて早速話せというので、昨日の夜の信玄様との会話をかいつまんで報告した。
由梨「―というわけで、今本当に困ってるんです。」
謙信「相変わらずだな。本当に信玄には世話が焼ける。」
由梨「そうなんですか?」
謙信「ああ、あやつが女を口説くのは日常茶飯事だが、今のお前の話を聞いたところでは、あながち嘘というわけでもなさそうだな。」
由梨「そうなんです。だから余計に困ってしまって…」
謙信「お前…信玄と恋仲になる気、あるのか?」
由梨「ないですけど、言い辛いんです。信玄様、いい返事待ってるっておしゃったし、私的にも、理由もなしには断りづらいので…」
謙信「なるほどな。確かにそれは一理あるかも知れん。だが、時には言い辛いことでも言っとかなければ、後で面倒なことになることもある。」
由梨「そうですよね…。分かりました、言ってきます。ありがとうございます。」
謙信「ああ、言って来い。」
そうして、私は信玄様の部屋へと向かった。
由梨「失礼します。」
信玄「由梨、いらっしゃい。」
今日は、信玄様はお仕事がお休みだったらしく、部屋でくつろいでいた。
由梨「ごめんなさい。昨日の件ですが、やはりお付き合いはできません。」
信玄「…好きな奴でもいるのか?」
由梨「そう言う訳ではないんです。けど、やはり知り合ってすぐの人とそういう関係になるのは気が引けるので…本当はああ言ってもらえて悪い気はしなかったんです。でも、付き合うってなるともうちょっとお互いを知ってからでないとって思って…。本当に申し訳ありません。」
信玄「そうか。でも、俺は由梨に好きになってもらうよう努力するし、護衛として君を守っていくつもりだからそれだけは忘れないでくれ。」
由梨「本当に有り難いです。失礼しました。」
信玄様の部屋を出て自分の部屋へ向かう最中、申し訳ない気持ちで胸がいっぱいで涙が溢れてきた。
それから瞬く間に時は過ぎ、いつの間にか私が春日山城に来てからひと月程経っていた。その間も信玄様は事あるごとに、私を口説き続けていたから、心臓が持たない時もあったけれど、それ以外これという大事件もなく、平和だった。その日、私は今までお世話になったお礼とこれからよろしくお願いしますという気持ちを込めて皆に着物を作ろうと思い、護衛に付いて下さるという信玄様と数人の彼の家臣と共に城下町に足を伸ばした。
(どれにしようかな…)
迷っていると、ふと目の端に丁度良い反物が目に入った。
(あ、これ幸村に合うかも…)
それは、赤地に簡単な紋様が縫ってあるものだった。その他にもどんなものがあるか見ていると、次々と皆に似合いそうな反物があった。結局、信玄様には茶色、謙信様には水色、幸村には赤、佐助君には緑の反物を買い、城に戻った。
城へ戻って早速着物作りに取り掛かった。いくら慣れてるとはいえ、四人分を限られた時間で作るのは早々簡単なことではなく、四つとも全て完成するまでひと月半程掛かった。
―そして、ひと月半後。
(やっとできた!よし、後はこれを皆に…)
そう思い立ち上がった時、それまでなんともなかった筈の膝に急に鋭い痛みが走る。
(痛っ!)
よく見ると腫れていた。
(着物作りに根詰め過ぎたからかな…ま、ほっとけばそのうち治るよね。)
その日は無理せず休むことにして、褥についた。
思った通り、翌日には治っていてホッと一息つく。
その日、春日山城では宴が開かれることになり、私も参加していた。
その後四人を私の部屋に招待して、例の着物を手渡した。
由梨「これ、今までお世話になった感謝の気持ちです。受け取って下さい。」
幸村「ふーん。お前、着物作りの才能あるな。」
信玄「ありがとな。そろそろこれも古くなってきたから、丁度変えようと思ってたところだったんだ。…天女からの贈り物すごく嬉しいよ。」
佐助「そうだな。由梨さん、ありがとう。」
由梨「どういたしまして。」
(後は謙信様だけど…この人が一番手ごわいかも…)
謙信「本来なら受け取らんところだが…礼の他に意味がないのであれば受け取っておくとするか。」
(受け取って下さって良かった。)
そして、その後皆退室してその夜は穏やかに過ぎていった。
このストーリーはこれで終わるつもりですが、ご要望があれば(ないと思うけど)来月5日以降に続きを書きたいと思います。というのも9月5日は政宗の誕生日ですので、それの宴シーンを書きたいと思ってます。そこでコメント欄にて安土勢のみか安土勢+春日山勢+顕如の宴シーン、どちらが良いかアンケートを取りたいので、ご回答よろしくお願いします。もしなければ適当にどちらか選んで書きます。ではまた。
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